2021年令和3年 パラサイト意味

2021年令和3年 パラサイト意味

そして、物語の鍵を握る、パク家の家政婦ムングァンを演じたイ・ジョンウンは数々のドラマや映画、舞台に出演する名バイプレイヤー。韓国ドラマファンにとってはおなじみの役者ではないだろうか。最近ではNetflixで配信中のドラマ『椿の花が咲く頃』にも出演している。ポン・ジュノ監督作としては、『パラサイト』のほかに『母なる証明』『オクジャ/okja』に参加している。

2020年公開の外国映画として、日本で年間トップとなる興行収入47.4億円のヒットを記録したとはいえ(2020年合算対象の『アナ雪2』や『スター・ウォーズ』は2019年末の公開)、韓国映画が金曜ロードSHOW!で放映されるのは珍しいケース。それだけ『パラサイト』は、映画ファンの枠を超えて一般レベルで話題作と認知されたということだ。

『パラサイト』の場合、アカデミー賞や興行収入もさることながら、2020年は「愛の不時着」、「梨泰院クラス」を筆頭に第4次韓流ブームが起こったことも、メジャー認知への後押しに貢献した気がする。また、ここ数年、何かと話題になる「ネタバレ」というキーワードが、この『パラサイト』には最高の宣伝フレーズになったのも事実。予備知識をできるだけ少なくして観ることで、ジェットコースターのように激しい勢いで信じられない展開へなだれ込む作風が、映画を観た人を興奮させ、観ていない人の欲求を刺激し、それがSNSで広く拡散されるという、近年の映画のヒット法則を鮮やかに成立させた。

1月8日、金曜ロードSHOW!で『パラサイト 半地下の家族』が放映される。今から約1年前の2020年の2月、米アカデミー賞で作品賞受賞という快挙をなしとげた『パラサイト』は、今回が地上波では初の放映。しかもゴールデンタイムで、ノーカットである。

映画館での鑑賞や、配信などで各自、あるいは家族や友人という限定空間で観るケースと違って、TV放映、特に地上波で多くの人が同時に同じ作品を観ることで生まれたこのリアルタイムの楽しみ方は、今回の『パラサイト』でも、おそらく盛り上がるだろう。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が1都3県に発令されたタイミングということもあり、金曜夜の放映時間の在宅率→視聴率を高めそうだ。

なお『パラサイト 半地下の家族』はNetflix、Amazon Prime Video、U-NEXTをはじめとする各種動画配信サービスでも配信中。同作のモノクロ版もNetflixで配信されている。

上述の7人を含む『パラサイト』のメインキャストたちは、昨年『全米映画俳優組合賞』(SAGアワード)で最高賞にあたるキャスト賞を受賞した。外国語映画がこの賞を受けるのは初めてのことで、素晴らしいパフォーマンスは言語の壁を超えて人々を魅了するということを改めて裏付けた。

また、意外なキーパーソンとなるのが、パク家の長男ダソン。自由奔放な彼は、母親から絵の才能があると褒められているが、その絵はお世辞にも上手とは言えない。ピカソっぽくはあるが……。しかしダソンの描いた絵は、彼にトラウマ的体験を引き起こした、後半に出てくる重要人物がイメージされている。さらにダソンが家の中でインディアンの姿で大暴れしたりするが、これはアメリカに上陸した白人が先住民族の土地を奪うという、『パラサイト』と似た歴史を暗示している。インディアンのコスプレが最後にも出てくることで、その暗示はより濃厚に示されることに。

公開から1年が経ち、配信やDVDなどですでに観たい人の多くは鑑賞済みの『パラサイト』(Netflixではモノクロ版も1月1日から配信開始)。しかし今回の地上波初放映は、新たな楽しみ方も提供してくれるはずである。これもここ数年の流れだが、映画やドラマ、アニメなどのTV放映中に、ツイッターでのつぶやきをリアルタイム検索する楽しみ方が一般的になり、とくにマニアックなまでに人気の高い作品になると、秒単位であふれる感想には、熱い愛あり、強烈なツッコミありと、作品自体をますます面白くする効果が絶大だ。

『パラサイト 半地下の家族』の韓国語原題は「寄生虫」だが、ここで「寄生」的な関係を築くのは人間たち──全員が失業しており、半地下の住宅で暮らす貧しいキム一家と、IT企業を経営する裕福なパク一家という、境遇の異なる二つの家族だ。キム家の長男ギウが学歴を詐称してパク家の娘の家庭教師になったことをきっかけに、キム家の面々は家庭教師や使用人として互いに無関係な人物を装い、一家でパク家に入り込んでいく。本来は接点のなかった二つの家族が、雇用関係という形でつながった先には驚きの結末が待ち受ける。

ギテクの妻で、元ハンマー投げのメダリストであるチュンスクを演じたのは、チャン・ヘジン。『シークレット・サンシャイン』や『ポエトリー アグネスの詩』といったイ・チャンドン監督作に出演しているほか、ポン・ジュノが「2020年代に注目すべき20人の映画監督」のひとりとして挙げたユン・ガウンの監督作『わたしたち』にも出演。また昨年日本でブームを巻き起こしたドラマ『愛の不時着』では、『パラサイト』での貧乏なキャラクターとは一転して、デパートを経営する北朝鮮のセレブに扮している。

以上がキム家の面々を演じたキャストだが、彼らの「侵入」によって思わぬ事態に巻き込まれていくパク家の夫婦は、夫役をイ・ソンギュン、妻役をチョ・ヨジョンが演じている。甘い声が特徴的なイ・ソンギュンは『白い巨塔』や『コーヒープリンス1号店』といった人気ドラマで主要キャストを務め、映画ではホン・サンス監督作にも多数出演。最近では『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』で人気歌手のIUと共演した。パク社長の「若くてシンプル」な妻を体現したチョ・ヨジョンは、『パラサイト』の演技で韓国の映画賞『青龍映画賞』主演女優賞などに輝いた。チョ・ヨジョンは『ロマンスが必要』『完璧な妻』といったドラマをはじめ、官能的なラブストーリー『情愛中毒』などの映画にも出演。『情愛中毒』での演技がポン・ジュノの目にとまり、『パラサイト』へのキャスティングにつながったのだという。

そもそもアカデミー賞作品賞に輝いた映画が、金曜ロードSHOW!のような枠で放映されること自体が異例。『パラサイト』から順を追って振り返れば、『グリーンブック』、『シェイプ・オブ・ウォーター』、『ムーンライト』……と、近年の作品賞受賞作は、日本の地上波ゴールデンタイムで放映されるような映画とは、かけ離れているものばかり。あくまで私見だが、ふさわしい作品となると、2003年の『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』、2002年の『シカゴ』あたりまで遡らなければならない。

21世紀を代表する映画監督として名を馳せるポン・ジュノ。彼が撮った映画『パラサイト 半地下の家族』の制作プロセスは極めて画期的であり、100有余年に及ぶ映画の歴史が次のフェイズに突入した事実を浮き彫りにする。あえて極論するならば、「映画はゲームによって再定義される」かもしれないのだ。

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