2021最新 大橋悠依細い

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それまでほとんど無名だった女性スイマーがいきなり世界のトップシーンに躍り出たのは、リオデジャネイロ五輪の翌年のことだった。東京五輪に向けて各競技のアスリートたちが再スタートを切った2017年。当時、東洋大学4年生だった大橋の登場は鮮烈だった。初出場となった世界水泳選手権の女子200m個人メドレーで銀メダルを獲得。続く18年のパンパシフィック選手権では200mと400mの個人メドレーで2冠を達成した。19年世界選手権では200m個人メドレーこそ泳法違反で失格となったものの、400m個人メドレーで銅メダル。世界選手権で2大会連続メダルを獲得したように、実績は申し分ない。

年末に練習施設が閉鎖されたことで、たまたま合同練習になった。しかし最初は身の置き所がなかった。仲間の輪から離れて、ひと言もしゃべらず練習した。離脱中も毎日連絡をくれた先輩の清水咲子に「大橋、そんな隅っこにいるなよ! こっち、おいで」と強引によばれた。救われた。

24日には同じ400メートル個人メドレーで金メダル候補だった男子瀬戸大也(27)が、まさかの予選落ち。大橋はそれを見て「五輪は何があるか、わからないな。亜華葉(谷川)と2人で『どうしよう、怖いな』と言っていた」。世界選手権でメダル2個を獲得も、五輪は初出場だった。「結構緊張していた」。だが予選のレース前に平井コーチに「どうだ?」と聞かれた。「正直怖いです」と答えると「それが普通だと思うから、決めたことをただやるように」とアドバイスされた。300メートルまでしっかり泳ぐレースプランを守って、全体3位で決勝進出した。

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日本記録4分30秒82を持つ大橋は、19年世界選手権銅メダルを獲得している。女子エースとしてメダル獲得が期待されていた。「日本新を出して以来の速いタイムを、朝のこの時間帯に出せた。やってきたことは間違いじゃなかった」とうなずいた。

だが、大橋には天性のセンスがあった。中学生になると「細い体でも戦えることが分かった」と意識も高くなり、全国大会で優勝するようになった。そんな大橋の才能を高く買ったのが、五輪2大会連続2冠の北島康介や、リオ五輪で金銀銅メダルを獲得した萩野公介の指導者として知られる平井伯昌氏である。大橋と平井氏との出会いは12年のジュニアパンパシフィック選手権。当時の大橋の専門は200m個人メドレーや200m背泳ぎで、ジュニア日本代表の監督だった平井氏の目には、「ゆったりとした泳ぎだけど素質はありそうだ」と映っていたという。大会が終わってみると、200mの2種目では今一つの成績だったが、専門ではなかった400m個人メドレーで自己ベストを記録した。「体が細くて水を捉えるのがうまいので、400mの方が合っていると思った」という平井氏は、自身が監督を務める東洋大学に大橋を勧誘し、400m個人メドレーをメインにしていこうというプランを伝えた。

こうして14年に東洋大学に入学した大橋だったが、最初の2年間は思うような成績を出せない日々が続いた。入学してからしばらくは体力不足が目立ち、大橋1人だけ早朝の陸上トレーニングメニューが課されたほど。他の選手と同じ水中練習メニューをこなす前に体力をつけるのが先決だった。大学2年生になると今度は貧血に苦しんだ。タイムがまったく伸びなかったため、原因を探るべく精密検査をしたところ、ヘモグロビンの数値が低く、貧血であることが判明したのだ。ただ、原因が明らかになったことで、大橋の気持ちはむしろ好転した。鉄分を多く取るなど食事から改善し、まずは体を整えた。萩野をはじめとする精鋭たちが集う16年2月の海外高地合宿には参加できなかったが、平井氏によれば、「気になっていたので合宿に出発する日に大橋を呼んで『僕がいなくても頑張っておきなさい。来年は君を強化する番だから』と話した」という。こうして迎えた16年の日本選手権兼リオ五輪選考会で400m個人メドレー3位になったことが大橋の心に火をつけるきっかけとなった。リオ五輪の出場権を得ることはできなかったが、高地合宿に参加せずとも出場ラインまであとわずかに迫ったからだ。

26日には200メートルの個人メドレー予選が組まれる。「頭を切り替え、残る200メートルも頑張る」。さらなる活躍を誓った。

競泳女子のエースとして東京五輪に臨む。武器はスリムで長い手足を生かした抵抗の少ない、大きな泳ぎ。女子200m個人メドレーと同400m個人メドレーで表彰台を狙う実力を持つのが大橋悠依(イトマン東進)だ。「世界を見ても、200mと400mの個人メドレーを両立している選手は少ない。自分はしっかり両立して、どちらもメダルを取れるようにしたい」ターゲットをはっきりと口にする凛とした表情が印象的だ。

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