2021最新 橋本大輝体操クラブ

2021最新 橋本大輝体操クラブ

冨田氏と会ってから、メキメキと実力をつけた橋本。だが結果がともなわない。中学3年の時には全国大会に出場するが、最下位というどん底……。原因は明白だった。

橋本選手が小中学生時代に所属した佐原ジュニア体操クラブは、千葉県香取市にある廃校となった沢小学校の体育館が拠点。山岸信行コーチ(64)が苦労して器具を集め、自治体と掛け合って築いた「虎の穴」だ。
山岸さんに橋本選手を指導した記憶はない。手本は一流選手の演技が詰まったビデオ。覚えているのは「いつも頭をいっぱいにして体育館に入ってくる」姿で、口にしたことと言えば「つま先伸ばせ、美しく」だけだという。
練習でけがをしないかと、橋本選手を抑えるのに腐心した。記憶にあるのが中学3年の全国大会。前日のゆか練習で足首を骨折しながら、出場を強行した。個人総合は最下位だったが、鉄棒狙いで着地を決めた。「気持ちもセンス、努力もセンス。その総合力で価値が決まる」。クラブ初の五輪選手誕生を夢に描いた。
市立船橋高校に進むと、1年時は補欠だったが、真綿が水を吸うように技を習得。神田真司前監督(62)は「抑えられていた気持ちが一気に噴き出した」と話す。
高3で世界選手権に出場。ただ、団体は首位争いに絡めず3位に。同行した大竹秀一監督(43)は「最後のゆかを完璧にやってもロシア、中国に追い付けない中、チームを鼓舞する気迫で着地を全て止めにいった」と話す。結果的にミスしたが、それでいい。悔し涙を流す橋本選手に「五輪の舞台を想像しよう」と声を掛けた。
「廃校から世界、そして五輪へ」。山岸さんの口癖だ。指導歴40年にして夢が実現した。教え子は押しも押されもせぬエース。体操にささげた人生が報われた。

「『王子』ではなく、『橋本大輝』と覚えてもらいたいです」

好物は実家でとれた野菜の入った、祖母手作りのカレーだという橋本。支え続けた家族に、メダル獲得という最高の恩返しをした。

2021年/令和3年度、第60回NHK杯体操が長野県で開催されます。

橋本は「二刀流選手」でもある。トップアスリートとして練習にはげむ一方、実家で農作業をしているのだ。

初出場が5人中3人という、フレッシュとも未知数とも言えるチームでありながら2年連続で銅メダルを死守し、昨年は水をあけられたロシアと中国との差を縮めることができた背景には、新鋭の橋本が見せた質の高い演技があった。

それが端的に出たのは、橋本が中学3年生のとき。強豪の市立船橋高校の練習に参加すると、その期間中に、跳馬の高難度技である「ロペス」に成功した。これは世界選手権の種目別決勝でスペシャリストが使うレベルの技であり、現在の橋本が持つ大きな武器でもある。

体操男子個人総合で新王者が誕生した。団体で逆転の銀メダルの立役者となった橋本大輝選手(19)=順天堂大=。ジュニア時代は廃校の体育館で練習、高校で世界を体感し、五輪が1年延期された間にエースに急成長した。大舞台で圧巻の演技を披露し、金メダルに輝いた。

橋本は体操選手としてどのようにして育ってきたのか。また、今後の伸びしろはどうだろうか。

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