2021年令和3年 井岡一翔井上尚弥

世界ボクシング機構(WBO)スーパーフライ級王者の井岡一翔(Ambition)が、昨年12月の防衛戦で実施されたドーピング検査で禁止薬物に陽性反応を示したことが26日、関係者への取材で分かった。ドーピング違反は確定しておらず、試合を管理する日本ボクシングコミッション(JBC)は倫理委員会で検査の過程や結果について検証する方針。

現段階で今回のトラブルがどう収束するか全く予断を許さないが、井岡が再び米国リングに活路を求めるならば、どのプロモーターと組むかがキャリア進行のカギとなるだろう。気の早いファンはやれ「エディ・ハーンのマッチルーム・ボクシングがいい」とか「タイソンvsジョーンズやユーチューバーの試合を開催したトリラーが最適だ」とツイートする。また「相手はジョンリール・カシメロ(WBOバンタム級王者)が相応しい」と井上尚弥(大橋=WBAスーパー・IBFバンタム級統一王者)のライバルとの対決を促す向きもある。確かに井岡とカシメロはファンをロックさせる(エキサイトさせる)資質を兼備した選手に感じられる。

井岡の代理人弁護士は読売新聞の書面による取材に対し、大麻成分も検出されたとして井岡が4月上旬に警視庁から聴取を受けたと明らかにし、禁止薬物の意図的な摂取は否定。「1点だけ心当たりがあるのは、井岡が使用していたオイル。大麻成分はこのオイルから検出された可能性はある」とし、「警察にも説明し、捜査終了と伝えられた。嫌疑は晴れている」と強調した。

バッドレフト・ドットコムは27日午後11時(米国東部時間)付で朝日新聞(英語版)とサンケイスポーツ(執筆者が機械訳)の報道をもとに続報している。その時点でまだ新しい動きがないため、内容は既成事実だけにとどまっていが、それだけ関心が高い証拠だろう。薬物違反でWBCから出場停止処分を科されたカネロ・アルバレスが一時リング誌のパウンド・フォー・パウンド・ランキングから消えたことがある。同ランキングで10傑入りしている井岡のポジションも気にかかるところだ。

WBOスーパーフライ級チャンピオン井岡一翔(Ambition)のマリファナおよび禁止薬物使用疑惑は海を越えたアメリカでもボクシングファンの大きな関心事となっている。改めて井岡のビッグネームぶりと昨年大みそかの田中恒成(畑中)戦のインパクトの強さが浮き彫りになった印象だ。

私が知る限り、米国メディアで最初に伝えたのは「バッドレフト・ドットコム」だと思う。日時は4月26日午後2時30分(東部時間)。パトリック・L・スタンバーグ記者が書いている。ニュースソースは共同通信だという。記事では井岡、日本ボクシング・コミッション(JBC)、警察、井岡の弁護士の言動に触れた後、次のように結んでいる。

「タトゥー問題の次はこれ。まだ井岡は最悪のケースに直面する可能性がある。日本は大麻の法律に関して極めて厳格な国として有名。所持していただけで数年、刑務所に送られる。彼は32歳で今後の活躍が大いに嘱望される。今回のようなケースでキャリアが断線するのは見るに忍びない」

いずれにしても井岡に対する処分を心配するファンが米国に多いことに気づく。そして彼の勇姿を直に見たいと希望する者が後を絶たない。果たして井岡は「禍を転じて福となす」と行くだろうか。

ファンの間では「井岡は無実だ」と4階級制覇王者を擁護する発言も少なくない。その一方で日本の法規や慣習を批判している。また2018年に米国のとなりカナダで大麻が合法化されたが、日本国籍を持つ者が海外で使用したり所持したりしたケースはどうなるのか――と指摘する人もいる。ともかくドラッグの問題は寛容さに相違があっても、いずれの国でもトラブルの種をまくことは間違いないだろう。