2020年令和2年 停留精巣見た目

停留精巣をそのまま放置すると、精子をつくる働きが悪くなったり、精巣に悪性腫瘍ができやすくなるといわれています。このことを防ぐため、あるいは悪性腫瘍ができた場合に少しでも早く発見できるようにするため、停留精巣に対しては精巣固定術(精巣を陰嚢までおろす手術)が必要です。手術の時期としては1歳すぎから1歳半くらいまでに行うのが標準的です。

ほかに病気のない元気なお子さんの場合は1歳のお誕生日の前後に手術を行うことをおすすめしています。
停留精巣の中でも精巣を足のつけねあたりに触知できる「触知できるタイプ」は最初から精巣固定術をおこないます。下腹部のソケイ部に2~3cmの横の切開を行い、精巣を見つけ、ついている血管と精管、筋肉をていねいに周囲からはがすと数cm伸びるので陰嚢まで精巣が届くようになります。陰嚢のしわに1cmぐらいの横の傷をくわえて精巣をむかえいれて糸で固定します。傷はすべて体に吸収される糸で縫いますから術後の抜糸などはありませんし成長とともにほとんどわからなくなります。手術は1時間から2時間かかります。
「精巣を触知できないタイプ(非触知精巣)」では麻酔がかかってから最初におなかの中を細い内視鏡でチェックすることをおすすめしています。なぜなら「精巣を触知できないタイプ」のなかにはもとから精巣がなかったり、きわめて小さくなっていて機能が期待できない精巣が含まれるためです。精巣はおなかの中から降りてきますから、おへそに小さな穴(直径5mmぐらい)を開けて細い内視鏡を入れるとおなかの中にあるのかどうかすぐにわかります。この操作は15分ぐらいで終わります。これで手術が必要かどうか、また手術の術式を決めてからソケイ部の切開をおこないます。カメラでみながらおなかの中で手術をおこなう場合もあります(腹腔鏡手術と呼びます)。極めて小さな精巣では摘出をおすすめする場合もあります。また精巣の状態によっては陰嚢内に固定するときに1mmぐらい組織検査のために切除することがあります(生検と呼びます)。組織を顕微鏡で観察(病理組織診断)することで生殖細胞の状態を調べます。
手術の合併症としては精巣の位置がとても高い場合に、きちんと陰嚢内に降ろせない、精巣の血のめぐりが悪くなって術後に精巣が萎縮してしまうということが起こりえます。

東京ベイ浦安市川医療センター小児外科では年間約100例の停留精巣もしくは移動性精巣の手術を行なっておりますので、お子様のおちんちんの袋を見て何か変だなと感じられました際には是非お気軽にご相談ください。

今後、乳幼児期の治療が進んで改善することが期待されています。片側だけの停留精巣男子の不妊率は10~30%とも言われていますが、ほとんど正常な男性とかわらないという報告もあり明確ではありません。
停留精巣は男性の不妊の原因としては5番目とされています。不妊検査の基本は精液を顕微鏡で調べて精子の数や動きの状態を調べることです。これは思春期以降にマスターベーションをしなければできません。この検査はこどもを欲する男性がおこなう必要があっても、停留精巣のお子さんが必ずおこなう必要があるとはいえません。停留精巣では片側であってもこの精液検査で精子数が少ない場合が多いことが知られています。しかし精子数と妊娠率は必ずしも比例しないために最近は片側の停留精巣では以前のように不妊率が高いとは言われていません。また両側停留精巣の場合でも不妊治療が進んでいるために今後こどもが作れる可能性は高くなると思われます。

新生児の時期に注意深く陰嚢を触れば精巣が触れるかどうかわかります。精巣は6ヶ月までは自然下降が期待できますからそのまま様子を見てかまいません。6ヶ月をこえても精巣を陰嚢内に触れない場合は治療を考える必要があります。丁寧に診察して陰嚢内に精巣が触れるかどうかが検査としては最も重要です。
現時点でエコーやCT、MRIなどの特殊な検査はその診断性能の不確実さより必要性は疑問視されており当科では通常おこないません。
また2歳ぐらいのお子さんからは陰嚢内に精巣を触れたり触れなかったりすることがあります。これは「移動性精巣・遊走睾丸」などと呼ばれます。精巣には精管や血管がついているだけでなく、筋肉もついていて足のつけねの付近からぶら下がっています。この筋肉が反射的に収縮すると精巣はソケイ部のなか(ソケイ管内)に上昇して触れにくくなります。これは正常な反応であり、このような筋肉反射は小学生まで続きます。本人がリラックスしているとき(お風呂に入って気持ちのよいときなど)に陰嚢内に左右同じ大きさの精巣を触れるのであれば停留精巣ではなく、基本的に治療は必要ありません。

典型的な停留精巣は陰嚢の少し上方(鼠径部)に触れますが、正常と停留精巣の中間ぐらいの精巣があります。すなわちあがっていることが多いが時には陰嚢まで下りている、あるいは手で引くと簡単に下りるが手を離すとすぐに上がっていく、というケースです。このような状態を「移動性精巣」と呼びます。これに対する手術の必要性については、精巣の高さや精巣の大きさなどで判断します。

精巣は、寒いときや緊張したときには一時的に「袋」(医学的には、陰嚢といいます)より上がることがありますが、普段は陰嚢の中にあります。逆に常時上がっていて陰嚢の中に触れない状態を「停留精巣」といいます。精巣は、胎児期に腎臓の近くから発生し、出生までに陰嚢へ降りてきますが、この下降のプロセスが途中で止まった状態が「停留精巣」なのです。

停留精巣や移動性精巣について、当院では入院期間2泊3日で治療を行なっております。
退院後1週間で外来に来て頂き、術後チェックを行います。
陰部は比較的雑菌が繁殖しやすいため、傷の感染が起こり易い状況があります。
また術後の合併症として精巣が再度挙上してしまうことや、精巣が小さくなってしまうこともあるため定期的(半年に1回程度)に受診して頂いて、精巣の位置・サイズを触診・超音波検査で確認を行っております。
実際には停留精巣のお子様では思春期の時期まで精巣の発達を外来で観察をさせて頂いております。

停留精巣とは陰嚢(おちんちんの下のふくろ)の中に精巣(睾丸とも呼ぶ)が入ってない状態で、男の子の先天的な異常の中でもっとも頻度の高い疾患です。予定日で生まれた男の子100人のうち3人ぐらいに認められます。早産のお子さんでは頻度は高くなります。生後6ヶ月までは自然に精巣が降りてくる場合があり、1歳のお誕生日では100人に1人ぐらいの頻度で認めます。それ以降は自然下降がないので頻度は変わりません。