2021最新 柳楽優弥 出演作品

その苦しみを一人でじっと見つめている方が、柳楽優弥だ。伏せ目がちに耐えている姿が印象的で、『ウシジマくん』の時と同じ役者とは思えず。元カノとの複雑な関係を通じてあぶり出される過去の秘密が、ミステリー仕立てで描かれるので、最後までハラハラ。抑えた演技だからこそ引きつけられる目ヂカラは、この作品でも健在だ。

柳楽優弥「本日はお越しいただき、ありがとうございます。葛飾北斎役で最も興奮したことは、時代劇であるのに刀を使ったチャンバラのような殺陣をやるのではなく、アーティストを演じさせていただいたということです。これは本作の魅力のひとつだと思うので、楽しんでご覧いただきたいです」

土方十四郎役の柳楽優弥はもちろん前作にも登場したが、この作品の方が出番が多い。くわえタバコがクールなイケメンの彼が、ある陰謀によりヘタレ人間になってしまうというそのギャップを楽しむわけだが、周りもそういうギャップで笑いを取っているので、柳楽優弥が特に目立っているわけではない。でも準主役級なので、見逃せない作品。

柳楽 僕は、泯さんと同じ役柄を演じさせていただけたことが光栄です。ほかにも阿部寛さん、玉木宏さん、永山瑛太さんという豪華なキャストの方々に囲まれての撮影に参加させていただくことは、僕にとって大きなチャレンジでした。江戸時代のひとりの絵師が自由をつかもうと奮闘し、成長していくサクセスストーリーをぜひご覧いただきたいです。

彼が自分たちのトップ争いに無関心なので憎たらしいものの、強そうなので味方につけたい。そこへ絡んでくるのが、ケンカ偏差値1位で最大派閥のリーダー・柳楽優弥。暴力の塊のようなボサボサ頭の悪人顔である。柳楽優弥ってこんな俳優だったっけ? でも怒った時の歩き方がステキ。

──2020年は、30歳を記念したパーソナルブック『やぎら本』(発行:SDP)も出版、今まで以上にプライベートな素顔を出されていたのも印象的でした。

『ディストラクション・ベイビーズ』を観た後にこれとは……振り幅がちょっと広すぎ。ああ、俳優としての柳楽優弥の気持ちがわからなくなる1作。

普段は大人しいオタク男子。変身すると、カニとダイソン(掃除機)が合体した化け物。それが柳楽優弥の役である。彼が変態仮面の敵になってしまった理由は三角関係で、武器は吸い込み力だ。その似合わなさが笑いを誘うのかは不明だが、ひょっとして柳楽優弥はこういうのも嫌いではないのかも。

この日、第33回東京国際映画祭 特別招待上映の舞台挨拶に登壇したのは、W主演の柳楽優弥、田中泯とメガホンをとった橋本一監督、企画・脚本 河原れんの4名。

柳楽優弥「僕自身、北斎の絵は知っていたのですが、北斎の人生についてはあまり多くのことを知らなかったんです。特に青年期の情報はあまり残されていないこともあり、僕たちの北斎像というものを監督と作り上げていきました。見ごたえのある作品にできたのではと思います。期待していただきたいです」

尊敬する大先輩ばかりの現場で、演じさせていただけるということが楽しかったですし、現場での様子や振る舞い方なども学ばせていただくことが多かったです。泯さんはパワフルでかっこいい方でしたし、阿部さんの作品は好きでたくさん観ていたこともあり、憧れの方たちとご一緒することのできたありがたい現場でした。また、2020年は、俳優という仕事をするうえで私生活の充実は大事だなと強く感じた年でした。コロナの影響によって、計画されていた仕事が強制的に中止になったため、普段のインプット、アウトプットも大切にしたいという思いや、自身の価値観の変化がありました。

10代の頃は好奇心旺盛というか、いろいろやりたくて仕方がない感じでしたね。自分で言うのも何ですが、ちょっと変わっているんだと思います。10代の頃は本来の自分の実力とは違うところでキャリアが成長していっている感じが正直ありました。20歳になってから武道を習い始めたんですけど、20代になって「これをやってみたい」ということを自分なりに見つけて取り組むようになっていきました。課題とか目標をクリアするために、使えるアイテムを一つ一つ増やしていくみたいなことですね。20代はひたすらアイテム集めをしていたような感じで、それはいまだに続いていますが、集まったアイテムをどうやって使っていこうかと考えるのが30代なのかなという気がしています。

ウシジマくん=山田孝之というイメージが定着したほど、ロバート・デ・ニーロばりの変貌ぶりで演じた山田孝之に注目が集まったが、この作品では綾野剛や菅田将暉、窪田正孝といった主役級の人気俳優も出演。その中の1人が、柳楽優弥である。ただし、柳楽優弥はウシジマくんと一緒に働かないし、お金も借りない。彼はストーカーなのである。

親の愛に恵まれず、孤独を感じていた二人は似た者同士。特に彼の方は、親を知らずに育ち、今は一人で古紙回収の仕事をしている身の上だ。そんな彼の支えは彼女だけ。その大好きな彼女に久しぶりに会えた夜、抑えきれない感情が爆発してしまい……やり場のない後悔に苦しむ姿を柳楽優弥が繊細に演じ、そのうまさに引き込まれる。

河原れん「葛飾北斎という人は、江戸時代に 90 年も生きた人で、そんな人の人生をわずか 2 時間にまとめるのは不可能な話なんです。90 回以上引っ越したとか、30 回以上名前を変えたとか、3 万枚以上の作品を残したとか、逸話は沢山ありますが、これをまとめるだけではただのダイジェスト映画になって面白くないなと思いました。そこで、本当に何を描きたいのかなと思ったときに、やはり北斎が描いた”絵”に焦点を当てて、どんな絵を描いたのか、その絵を描いたときに、北斎は誰と出逢い、どんな気づきがあったのだろうか、影響を受けた北斎の次の絵はどんな風に変わったのかと、私なりに考えながら作品を作り上げました。柳楽さんと田中さんのお言葉を聞いて改めて、北斎の”美しい不器用さ”を描きたかったんだなと感じました。きっとそういう一面があり、愚直に自分の作品を作り上げて、世に何かを伝えようとしていたんじゃないかなと思います。他にもこの作品に込めたメッセージや、今の時代にだからこそ見てほしいという意味も、ご鑑賞いただいて感じていただきたいです」