2021年令和3年 海老蔵 娘

続いては、市川海老蔵が愛嬌と知性を兼ね備えた粂寺弾正を演じる歌舞伎十八番の内『毛抜』。歌舞伎の様式美に溢れた古風な味わいの一幕です。まず、海老蔵演じる粂寺弾正が花道から登場すると、東京での長期公演が昨年の1月以来となる海老蔵に客席から割れんばかりの拍手が贈られます。コロナウイルス感染拡大防止の為、通常の客席数の49.8%となる708席で公演を行っておりますが、それを感じさせないお客様の暖かいお心が劇場を満たします。

演目は、『春調娘七種』、『毛抜』、『藤娘』、『橋弁慶』。海老蔵は成田屋のお家芸である歌舞伎十八番の内『毛抜』で2021年の幕を開けた。そして、お正月の特別企画「お年玉」として、 舞踊の名作『藤娘』を市川ぼたん、弁慶と牛若丸の出会いを描いた『橋弁慶』を海老蔵と堀越勸玄が親子で踊るという、新年らしい豪華な演目が揃った。

1958年12月12日生まれ。五代目片岡市蔵の長男。1962年1月歌舞伎座『助六由縁江戸桜』の禿で片岡幸一の名で初舞台。1969年11月歌舞伎座『助六由縁江戸桜』の茶屋廻り金太ほかで六代目片岡十蔵を襲名。1985年名題昇進。2003年5月歌舞伎座『実盛物語』の瀬尾十郎ほかで六代目片岡市蔵を襲名。三枚目から老け役、女方まで幅広くこなす芸達者な立役である。父・五代目市蔵と團十郎家との縁で市川宗家の一門に加わり、海老蔵の「古典への誘い」や『源氏物語』に出演し中核を担っている。六本木歌舞伎『座頭市』では街を牛耳る六樽組の親分権三を勤め、敵役を演じてもただの敵役に終わらせず“悪”の魅力を見せる。確かな腕を持つ、成田屋の舞台になくてはならない貴重な俳優。

それから質疑応答に。堀越麗禾に「お稽古はされていらっしゃいますか?入っていらっしゃったらどのくらい進んでますか?」の質問、ちょっと恥ずかしがりながら「入っています」と回答。稽古の状況については「楽しいです」とはにかみながら。「やはり、今の時代は我々が子供の頃は厳しく、団七さんにひっぱたかれながら稽古する時代で、涙ながらに稽古していました。いやいややってましたが、今はそういう時代ではございません。楽しく、少しでも、まだ幼いので、楽しく、ぼちぼち・・・・・襲名も決まりましたので本格的に行こうかな?と。今は楽しい、親としては一安心」と語る。また襲名披露として長唄『京鹿子娘道成寺』を選んだ理由について市川ぼたんは「兄の方から『道成寺』をと。日本舞踊の中でも大曲なので、そういう責務を負ってはどうだろうかと。大変な踊りであることは間違いないですが、兄を相手にするのは、なかなか重圧が(笑)。それを受けることをしなくては、と思いまして」とコメント。
現在の堀越麗禾のお師匠さんについての質問、ここは父である市川海老蔵が「いろんな方に習っています。叔母にも習っていますし、妹にも、他の他流の先生にも習っておりますので、結構な量の稽古をしています」とコメント。そして稽古についてはいやだなと思ったことは「ない」そう。また学校とお稽古とどっちが楽しいですか?の質問に対しては「両方楽しいです」と回答。また舞台に立つことに対しては「緊張しません」とコメント、そこで父から「本当か?」と優しいツッコミが。また「(お父さんは)厳しくない、優しい」とコメント。また襲名することを堀越麗禾に直にいった時は?という質問に対して「基本的に彼女は舞踊も歌舞伎も好きで、できれば歌舞伎もやりたいという意志の中で、尊重しないといけない。歌舞伎は男性中心の伝統文化でございます。しかしながらそれでは(この)時代はいけないだろうと・・・・・今回三代襲名できる、こんなめでたいことはない。ということで話を進めているうちにやりたくってしょうがないと。ぼたんの襲名、それでこの日を迎えられた。来年は私も襲名を控えておりますが、自分の襲名よりもこちらの襲名の方が嬉しいなと。本日は脇役でございます。襲名できるのが見れるのは私にとりましても父にとりましても麻央にとりましても、嬉しいことではないかと。ここにいられることに感謝します」と語った。また父との共演について堀越麗禾は「嬉しいです」とコメント。目標は?の質問には「秘密」と市川海老蔵が代わりにコメント。
フォトセッションのあと、改めて囲み取材も行われた。

最後に「お年玉」として上演されるのは『藤娘』『橋弁慶』。まず、『藤娘』に登場したのは4年連続の新橋演舞場出演となる市川ぼたん。藤の精を演じるぼたんが舞に現れるとその愛らしさに客席には思わずため息が。可憐に艷やかに踊る小さな藤の精は、大きな舞台を感じさせない踊りを次々と見せてい きます。やがて藤の精が消え去ると、 場内は大きな拍手に包まれました。そして舞台は、海老蔵と3年連続の新橋演舞場出演となる堀越勸玄の親子共演となる『橋弁慶』に。五條橋での牛若丸と武蔵坊弁慶の出会いを描いた舞踊劇です。まず登場したのは勸玄が演じる牛若丸。牛若丸は武勇に優れた少年で、その噂を聞いた海老蔵演じる弁慶が少年を退治しようと薙刀を手に五條橋にやってきます。父と息子が繰り広げる立廻りに場内は拍手喝采。やがて弁慶は打ち負かされ、牛若丸は「我は源の牛若丸」と名乗りを上げ、家臣となった弁慶とともに花道を去ってゆくのでした。

「伝統芸能を分かりやすく、多角的に味わっていただきたい」と市川海老蔵が企画した本公演。河竹黙阿弥の七五調の名せりふに彩られた世話物の人気狂言『弁天娘女男白浪』にて、市川海老蔵が5年ぶりに弁天小僧を演じます。耳心地の良い音楽、色彩豊かな衣裳など、物語だけではない見どころ満載の名場面を心行くまでお楽しみください。

1977年12月6日生まれ。十二世市川團十郎の長男。1983年歌舞伎座『源氏物語』の春宮で初お目見得。1985年歌舞伎座『外郎売』の貴甘坊で七代目市川新之助を名乗り初舞台。2004年5月歌舞伎座『暫』の鎌倉権五郎、『勧進帳』の冨樫ほかで十一代目市川海老蔵を襲名。日本の伝統芸能を次世代に伝えるべく、自ら企画した「古典への誘(いざな)い」「ABKAI」などの自主公演にも意欲的に取り組み、次々と新作を生み出している。また活躍の場は国内に留まらず、二度に渡るシンガポール公演、2016年2月にアラブ首長国連邦、3月にはニューヨーク・カーネギーホールにおいて「GRAND JAPAN THEATER」公演を実施した。歌舞伎だけではなく、映像の世界では2014年に映画「利休にたずねよ」で、第37回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。

白浪五人男と呼ばれる五人の盗賊のうち、弁天小僧菊之助と南郷力丸が、呉服屋「浜松屋」に強請りにやって来ます。若い娘に化けた菊之助が男の正体を現し「知らざあ言って聞かせやしょう」と凄む台詞は歌舞伎の名台詞の一つです。その後、五人男が揃いの小袖で稲瀬川に勢揃いし、順に名乗りを上げます。錦絵さながらの美しい舞台をご堪能ください。

市川海老蔵と堀越麗禾が登壇。「叔母、妹、娘の襲名披露ができるのは自分のことよりも嬉しい気持ちです」そして「舞台は緊張しないけど、こういうのは緊張するようです」と語る。レポーターから「怖いことはありませんか?」の質問に「このおばさんが怖い(笑)」と市川海老蔵らしいツッコミ。「お父さんがいると安心ですか?」の問いかけに「はい」とお返事。襲名については「やはり、歌舞伎の家に生まれて、日本舞踊ができる、そして彼女自身も歌舞伎がの可能性を広げていく、ということ、父としての責務でございます。父として歌舞伎の可能性を広げていくこと。叔母もしかり、妹もしかりですが、そういう風にお手伝いができたらいいなと」とコメント。また稽古については「楽しくやってもらうのが第一と考えています。厳しいこともさることながら、まずは楽しく『いろはにほへと』というか基礎をやっています。嫌がるとやらないので、親がいってもやらないので、やってもらうには楽しいことを楽しくできるように」と語る。「勉強はあんまり言わない。小学生ですので、宿題は勝手にやる、やらないと自分が困る。自分の時はダメでしたね、稽古はしない、勉強はしない、学校もいかない、歌舞伎座もあんまりいかない(笑)、4拍子!これは麻央のDNAです」と語る。そして「母親にはいつもちゃんとご挨拶しています」とコメント。また母の日ということで「母には感謝を」とコメント。最後に「堀越麗禾です。四代目市川ぼたんを襲名させていただきます」と再び挨拶。「10日間も襲名披露公演させていただくので頑張ります」と市川海老蔵。和やかな雰囲気で会見はつつがなく終了した。

2021年の幕開け。春の七種行事を曽我物に織り込んだ、新年の初芝居にふさわしい『春調娘七種』で幕が開きます。曽我五郎、十郎の兄弟と静御前が国土安穏、天長地久を祈り舞うと、初春を寿ぐ舞台に客席がぱっと華やぎます。

令和2年2月の歌舞伎も、視野に入れて年越ししたい!
演目、配役にチケット販売情報も含め歌舞伎座、博多座(オグリ)、海老蔵(巡…

1963年11月26日生まれ。飛鳥流家元・飛鳥峯王の長男。1972年6月、南座『天一坊』の一子・忠右衛門を本名の武田右近の名で初舞台。1975年、三代目市川猿之助(現・猿翁)の部屋子となり市川右近を名乗る。2017年1月、新橋演舞場にて上方歌舞伎ゆかりの大名跡、三代目市川右團次を襲名。きびきびとした動きと口跡が印象的で、舞台全体の要となる重要な役どころや老け役も演じる。『弁天娘女男白浪』の日本駄右衛門や、『十種香』の長尾謙信の貫禄など、古典でも存在感と風格を見せ、『矢の根』の五郎では勇ましい荒事の魅力を見事に表現。際立つ存在感と風格で大いに魅せる。歌舞伎以外ではテレビドラマ「陸王」やバラエティ番組にも多数出演し、マルチな才能を如何なく発揮している。

「海老蔵」と「歌舞伎」の名を冠した本作は、市川海老蔵にとって自身の名前に「歌舞伎」がついた初めての公演。コロナウイルスという未曾有の災禍にあり、東京での長期の歌舞伎公演は2020年1月新橋演舞場公演以来1年ぶり。コロナ禍の大変な今だからこそ、歌舞伎の灯を絶やさず、新たな挑戦をすべく2021年1月、海老蔵が始動した。

1972年4月4日生まれ。1998年坂東竹志郎を名乗り初舞台。2005年四代目坂東薪車襲名。2014年市川海老蔵門下となり、市川道行を名乗る。2015年1月新橋演舞場で四代目市川九團次を襲名。市川海老蔵一門として全国の公演に出演する他、2016年に初めての自主公演「九團次の会」を開催。3年目となる2018年には舞踊『翁千歳三番叟』『静と知盛』に加え、講談『新吉原百人斬り〜お紺殺し〜』に挑み、魅力の口跡の良さを生かした熱演が好評となる。全国11ヶ所13公演を勤め上げた。テレビCMやバラエティ番組にも多数出演し、「RIZAP」のCMでは鍛え上げた身体を披露。また、滑らかな語り口を発揮し、学生や一般の方へ歌舞伎のワークショップを行うなど幅広く活躍中。市川海老蔵一門になくてはならない存在である。

1993年12月23日生まれ。中村福助の長男。祖父は七代目中村芝翫。1999年11月歌舞伎座『壷坂霊験記』の観世音で中村優太の名で初お目見得。2000年9月歌舞伎座『京鹿子娘道成寺』の所化と『菊晴勢若駒』の春駒の童で六代目中村児太郎を襲名し初舞台。美貌と風姿、声量にも恵まれた成長著しい期待の若女形。可憐で初々しい娘、気品ある美しい姫、華やかで艶のある傾城など、どんな役でもふさわしく見せる。2019年は市川海老蔵自主公演「ABKAI」に初の出演を果たし、物語の鍵となる重要な役を複数勤め、一際大きな輝きを放った。2020年8月歌舞伎座では『与話情浮名横櫛』の妾お富を、11月博多座では『羽衣』では天女の役を勤めた。ひと役ごとに成長を重ねるホープは、今後の活躍が嘱望されており大役への期待も大きい。