2021最新 上田綺世 謝る

上田選手の言う、相手を“観察”すること。これこそ、中澤さんが上田選手を高く評価するポイントです。ディフェンダーの意識が自分以外に向いた一瞬を逃さずに動き出し、パスにピンポイントで合わせるのが、上田選手のゴールの形。その為に必要なのが、相手ディフェンダーが次にどんな動きをするか、試合の中で常に観察することなのです。

上田選手以外にも、10代~20台前半の若手が台頭してきた鹿島は、王者・川崎フロンターレに挑む「対抗馬」として注目だと話す中澤さん。27日土曜日の開幕節の相手は、昨シーズン16位の清水エスパルス。こちらは日本代表ゴールキーパーの権田修一選手など多くの選手を補強。名将といわれるロティ―ナ監督を招聘しリーグ戦の「台風の目」になるのではと、中澤さんは予想しています。

上田 感覚的にやってしまっている事が多いんですけど、やっぱり相手のディフェンスラインの選手や、マークについている選手のことをよく“観察”しますね。

中澤 僕もディフェンダーの目線で言うと、上田選手のような動き出しのいい選手をマークする時は、常に視野の中に入れようとプレーすると思います。そうしたディフェンスの目線も見ているんでしょうか。

上田 はい。試合の中で、意識的にプレーできる時間に相手について情報収集をしています。それが無意識のタイミングでそれが生きている、という感覚ですね。

後蹴りの1番手には上田綺世が名乗り出た。2017年12月の森保体制の初陣となった国際大会。決勝のPK戦で最後に外したのが上田。「そういうことも(頭を)よぎって、先陣を切ってくれたのはよかった」と監督。右隅へ冷静に決めると、板倉滉、中山雄太とこのチームを支えてきた2人も続き、相手は2人が失敗。最後はオーバーエージ(OA)の吉田麻也主将が決めると、歓喜の声が無観客のスタジアムにこだました。
負けたら終わりの一発勝負の舞台。日本のスタートは素晴らしく、得点は時間の問題かと思われた。球際で圧倒して、すぐに優勢。開始早々に林大地が遠いサイドへ右クロス。あとは決めるだけという絶好のボールだったが、遠藤航のシュートはクロスバーの上へ。その後の逸機も響き、試合は徐々に緊迫感に包まれていった。
後半に入ると、自慢の高さで勝負してきたオセアニア代表に押され出す。1次リーグ計7得点と好調の攻撃陣が沈黙なら、今度は守備陣の出番。「点が入らないときは後ろが我慢しないといけない。そこは持ちつ持たれつ」と吉田。PK戦でも1本止めたGK谷晃生を含め、集中力は途切れなかった。
放ったシュートは相手の3倍近い21本。「戦術というより、個人の質になる」。堂安律は決定力を欠いた内容を反省しつつ、チームとして決定機をつくり続けたことを前向きに捉える。辛勝の中でも、強敵スペインとの準決勝にもつながる好材料で「僕たちは金メダルしか頭にない。次も勝って決勝に駒を進めたい」と続けた。
かつて同じように「史上最強」と呼ばれたシドニー世代が破れなかった壁を越え、ベスト4進出。「金メダル」を合言葉にしてきた東京世代が、メダルへの挑戦権を得た。

中澤 上田選手は、「ボールを持っていない時間」にディフェンダーの動き方やクセを良く観察していますよね。

上田 それも試合の中で情報収集しています。自分を視野に入れようとしてくるディフェンダーに対しては、動き出す距離を変えたり逆に止まってみたりして、相手の逆をつけるように意識して見ていますね。

中澤 この場面、上田選手はパスに走り込みながらディフェンダーの背中を取ってマークをうまくはがしていますよね。普段からマークをはがすために意識している事はありますか。

上田 去年のリーグ戦は1敗1引き分けでしたが、いざ試合になったら順位ほどの差は感じませんでした。でも川崎はやっぱり勝負強かった。勝ち切る強さがすごいですよね。やはり優勝には粘り強く勝ちきることが必要なんだなと思いました。今シーズンはチームとして、粘り強さといやらしさで上位をキープして、最終的に優勝に持っていきたいです。

中澤さんいわく上田選手は、柳沢敦さん、鈴木隆行さん、興梠慎三選手、大迫勇也選手など、多くの優れたフォワードを輩出してきた鹿島の系譜を継ぐ選手。優れた“観察眼”と動き出しを武器にする22歳の、さらなる飛躍に期待がかかります。